円七面鳥

不定期

『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』感想

『映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ』を観ました。記憶が鮮明なうちに気持ちを言葉に残しておこうと思います。いくらか補助線は引きますが基本的に自分のための記録なので不親切な内容です。ネタバレありです。

 

 

・前提。私はとかげ推しのBUMPファン。前作「映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」は記憶にある限り人生の中で一番泣いた。*1

 

・総論。かわいかった。面白かった。上映時間の3分の1くらいは泣いてた。

 

・前作と比べると、これまですみっコにあまり触れてこなかった人たちよりすみっコのファンに向けられた内容だったような気がします。ゆめをなくしたすみっコたちの姿に「かわいい」よりも先立って「どきどき、そわそわ」を感じてしまったり、とかげとおかあさんの物語で泣かせにくる構成であったり。

 

しろくま&ふろしき。冒頭のさむがりレベルからかわいい。北はもうだめだ。えびふらいのしっぽと双璧を成す無表情っこのふろしきがしろくまにくるまれてなんだか満足げにしていたのがよかったです。

 

・とんかつ&えびふらいのしっぽ。えびふらいのしっぽを泣かせるのは反則でしょ。えびふらいのしっぽを泣かせるのは反則でしょ!! やさぐれとんかつがゆめを取り戻したシーンでえびふらいのしっぽがほんのりと笑ったのがすごくかわいかったです。

 

・ねこ&ざっそう。つめとぎ。アームでにゃー。たぴおかぷにぷに。今回もかわいい立ち回り多かったです。ナイトパーティーでなんかいきなり指揮者にさせられてもノリノリでこなす、すみっコ世界にあって超絶ポジティブなざっそう……。わんたちに一緒に踊らない?って誘われてるシーンで他のすみっコたちが身を引く中、ざっそうだけ楽しそう!って感じにちょっと乗り気なんですよね。ブーケのゆめといいざっそうのポジティブかわいさを改めて認識させられました。

 

・ぺんぎん?。自分探ししないぺんぎん?なんてぺんぎん?らしくない!と言い切ってしまうのもそれはそれでちょっと残酷じゃない……?という気はしないでもないですが、まあでもああいう形での解決で自信をつけるのはあんまりよくないだろうしという気持ちの落としどころ。ぺんぎん?はぺんぎん?だったからひよこ?を見つけられたんだよ……。他のすみっコたちより察しが良さそうに描かれているのが印象的でした。

 

・とかげ。今作まほうつかいと夢がテーマですみっコの中でもとかげがフィーチャーされそうという事前情報があって、それはつまり「とかげの夢」をアニメーションでやるよという、観客の情緒ぶっ壊します予告なんですよね。とかげ推しはとかげとおかあさんの話をされると泣くようにできているので。上映時間の3分の1くらいは泣いてたというのはとかげがおかあさんのことを思い出しているシーンの全てで勝手に涙が流れてくるからです。

 

www.san-x.co.jp

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でまあ、案の定というか予想通りというか、とかげとおかあさんが再会するわけですよ。そこにまほうがかかって、ふたりに羽が生えて夜空をさんぽする。モロじゃん! クライマックスはずっと泣いてたんですけど、一番感極まって、声を出さないように必死だったのがこのシーンでした。あとこれは2回目見て気付いたんですが、このシーン、とかげが「おかあさん」って呼びかけるんですよね。おかあさんに「おかあさん」って。前に会ったときは他のすみっコたちと一緒だったから、きょうりゅうであるスミッシーがおかあさんだとバレるわけにはいかなくて呼べなかった。それを今回初めて……初めてだと思う……初めておかあさんと呼べたわけですよ。そうと気付いたらやっぱり泣けてきて。

とかげのゆめはおかあさんと一緒に暮らすことだから、おかあさんと再会して一緒にいるしあわせなひとときには「いつかこの時間に終わりがくる」というはかなさが常につきまとっていて、とかげ推しがとかげとおかあさんの話に無条件で泣いてしまうのこの辺りに原因があると思うんですけど。おかあさんが去って行ったあと、再会の時間の短さを申し訳なく思うふぁいぶに対して、とかげはどこかさびしさを感じさせながらそれでも満足そうに「またあえたらいいな それがゆめ」*2と言ってあげる。また叶わなかった夢。きれいな夢。限界ですよね。いやとっくに限界超えてるんですけど。

…………これはほんとに最悪な想像なんですけどわずかな間でもとかげのゆめが消されなくてよかったなと、ほんとにほんとによかったなと、想像が及んだ瞬間に抱えきれない恐怖と安心に襲われました。

 

あとにせつむり。今回はヒロインムーブなくて出番控えめでしたね。でもエンドロールではかわいかったです。そこ帽子かぶる必要あるの?(かわいい)

 

・ふぁいぶ。本作のメインゲスト。1周目は「健気でかわいいなぁ」ぐらいの受け取り方だったような気がするんですが、2回目見終わってからふと「この映画見てふぁいぶを無能な働き者と感じる人はあまりいないだろうな」と思って、脚本の巧みさにうなりました。あと、ふぁいぶは作中で最後までうまくまほう使えないままなんですよね。すごくないですか。物語を通してまほうつかいとして成長するのでなく、最後の最後でたったひとつだけ希望のまほうを成功させるのでもなく、善意でちょっとした騒動を起こしただけ。でも、みんなそんなふぁいぶを受け入れている。どうしようもなく変わってしまうこともあれば、変われないのに変わりたいままのこともあって、そのすべてひっくるめてありのままの姿が君なんだよと。こんなあたたかい肯定がありますか。あるんだよ、すみっコぐらしとBUMP OF CHICKENには……。

「まほうがうまく使えないふぁいぶが起こす、とびっきりの奇跡とは」(劇場予告)じゃないんだよ。

 

・前作の主題歌がエンドロールとして強烈すぎて、私はしばらく「冬のこもりうた」が流れてくるたびに涙腺のゆるむ日々を送っていた*3のですが……今回BUMPが主題歌を担当すると知ったときは驚きのあまり笑ったあと「まぁでも重なるところはあるか」と納得して、一方でしかし前作のエンドロールのあまりの素晴らしさに「BUMPは好きだけど映画見たときにあれほど感極まるような曲になるのかなぁ」みたいな一抹の不安というかハードルというか面倒なファン心理というか……いやMV公開されてみれば「Small world」良い曲だったし近年のBUMPだなぁって感じの言葉しか並んでないのに「すみっコぐらしの映画の主題歌です!」と言われたら大納得満点回答藤くん天才って感じの歌詞だったんですが私が自分の中で勝手にぶち上げてしまったハードルは映画の一部として触れたときにどういう鑑賞体験になるかなんだよな……などとうだうだ思う夜も何度かあって。実際に映画を見て。いやもう杞憂でしたね。イントロが流れた瞬間に泣いたし歌に泣いたしエンドロールのイラストに泣いた。歌詞。「叶わないままの夢はどんな光より綺麗で 変われないのに変わりたいままだから苦しくて」ただただBUMPなんですよ。マジでBUMPが手を変え品を変え何度も歌ってきたようなこと。でも圧倒的にすみっコなんですよ! 分かりますかこの……この!!

 

・みなさんエンドロールのひよこ?で内心叫んでいたと思います。私も叫びました。よかったね……ありがとう……それしか言葉が出てこない……

 

・映画館って声あげて泣けないし上映終わったらどれだけつらくても席を立たなきゃいけないんですよね。もしかして映画って映画館で見るものじゃないんじゃないですか?

 

 

おまけ

 

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映画を観たあとモール内のゲームセンターでとった
鑑賞後バフもありクレーンゲーム完全に理解したので800円でいけた

 

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おかあさん

 

*1:文字通りの意味。嗚咽をこらえながらエンドロールを見送ったあと布団にくるまって30分ほど泣き続けた

*2:「またあえるといいな」だったかもしれない。こんな大事なセリフをちゃんと覚えていないの……

*3:だいたい職場