円七面鳥

不定期

進捗(下書き)

更新は最新三回分の予定

 

11/19

晒すと言った以上は。場所はまた考えます。火曜に始めたからとりあえず火曜予定

 

11/26

一週間で4000字書けばひと月で16000字書けると思ったからサボらないように晒してみたけど二週間かけて何字だこれ、でもゼロじゃないので勝ちです続けます

 

12/3

曜日感覚が希薄なので一日ズレ。下書きなので「とりあえずこういう流れ、飾り立てる文章は後で」でやりましょう。一日分の作業時間ほとんど費やして調べたのに結局葛の葉になりそう。図書館へのアクセスが悪いとこうなる。八百屋お七とかあるにはありましたが

 

――

「(ここにタイトル)」

 

 青山セキがその歌を聴いたのは、紅魔館と呼ばれる屋敷で座興の三味線を演奏した帰り、霧の湖を過ぎて森にさしかかろうとするころだった。
 往路より日も落ちて風の染みるような夜だった。人里からの往来の護衛と案内を任された、紅魔館では門番を務めているという女性と道すがらの会話を交わしつつ歩いているところに、その歌声は聴こえてきた。
 セキは歩みを止め、湖の方へと振り向いた。
 高く伸びやかで溌剌とした、歌うことに迷いのない少女の声だった。どこまでも真っ直ぐなのにどこか蠱惑的な魅力を持つ声だった。生まれてからこれまでに聴いたどんな歌とも違う、不思議な歌だった。
「どうかしましたか?」
 セキの様子に気付いたか、先を行っていた門番の女性が立ち止まって声をかけてきた。
「って、ああ、この歌ですか。そりゃ気になって当然ですよね。もうすっかり夜だってのに」
「はい……すみません、聴いたことのない歌だなと、つい聴き入ってしまいそうに」
「そうですか? ああいや、普通の人なら夜にこの辺りに来ることもないのか。私は慣れてるし……せっかくですし、もう少し聴いていきます?」
「いいんですか? 屋敷に戻るのが遅くなるんじゃ」
「気にしなくても大丈夫ですよ。適度な休憩も仕事には必要なんです」
「そうですか。それでは、お言葉に甘えて……」
 会話の間も歌声は途切れることなく、何もない広けた空にりんりんと響いていた。
 門番の女性が言った通りだ。人間がこんなところにいるとは、ましてや夜中に出歩いて歌を歌っているとはとても思えない。だからきっと、この声は人間のものではない。人ならざる者の声。魔性の歌。
 人里で生まれ育ったセキにとって妖怪の歌を聴く機会はそうそうあるものではなかった。そのわずかな機会にしたって、ちょっとしたハミングや、気分の良くなった酔っ払いが大声でがなるのを耳が勝手に拾うようなもので、妖怪が歌うために歌っているところになど出くわしたことはなかった。
 これが妖怪の歌。
 改めて意識し、じっと耳をすませた。
「……なんて自由で」
 こんなにも心を惑わすのだろう。

 

   *

 

「さればによりてはこれに又 いずれにおろかはなけれども」
 人里の川沿いの通り、店屋の並ぶ一画にまばらな人だかりができていた。十数名の人々の視線の先には三味線を構えた女性が立っている。色のあせた花菱柄の着物に身を包み、わずかに俯いているのもあって目深に被った笠で目元は窺えない。
 その口から独特の節を持った唄が
「ものの哀れを尋ぬるに しゅじなるりやくを尋ぬるに」
 女性が三味線を弾く。弦を

「」
――