自己紹介(オールタイム・ベスト・ミステリ)
【前置き】
オールタイム・ベストのミステリって数年に1冊読めるかどうかだからオールタイム・ベストなんじゃないんですか? そして必然的にその人の人生か価値観をさらけ出す回答になるはずでは?
読んだ順
・綾辻行人『どんどん橋、落ちた』
綾辻行人の名前とかミステリの歴史とか犯人当てのルールとかを意識する前に出会った作品で、私がカモなら初めて目にした本格ミステリ。本格ミステリたらんとする意思が本格ミステリをよく知らない読者にも伝わるように書かれた本格ミステリ、というのが正確か。『アンディファインド・マーダーズ』のあとがきでも書いたんですが、この作品内に出てくる「ルール」は未だに私を縛り続けており、呪いのように解けず裏切れない青春です。再読をあんまりしない私としては珍しく単行本と文庫版と新装版で3回読んだ。
伊坂幸太郎とか森見登美彦とか東野圭吾あたりを好んで読んでいた中学生だった気がしますが、「十角館」読んでからは意識的にミステリばっかり読んでいたように思います。この作品についてはあんまり語る必要もないでしょう。「十角館」以上に鮮明に思い出せる衝撃を味わったミステリは未だにない、というだけです。
・倉阪鬼一郎『三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人』
人間にこんなことができるんですか。凝り具合だけなら後発の作品の方が勝っている部分もありますが、総合的な見立ての完成度という点ではやはりこの作品がベストだと思います。解決編を笑って読めるのは良いミステリで、記憶にある限り一番笑ったミステリがこれです。
・古野まほろ『探偵小説のためのヴァリエイション「木剋水」』
これはマジな話なんですが、高校生のころ『月光ゲーム』を読んだ私は「フーダニットだけで長編ミステリって書けるんだ」という感想を持ちました。マジです。大マジ。
長編フーダニットに対する認識を改めさせられた作品。犯人を追い詰める偏執的なまでのロジックに寒気を覚えました。詰みとは、詰ませるとは、これほどのものだったのか。
犯人当ては、解けます。
以上、「あなたのオールタイム・ベストは?」と聞かれたら真っ先に思い浮かぶ5作です。
10作まで挙げるなら、麻耶雄嵩「こうもり」*1、三津田信三『首無の如き祟るもの』、芦辺拓『紅楼夢の殺人』、七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』、連城三紀彦『宵待草夜情』あたり。
書いてみて気づきましたが、ここ6年くらいは出会ってないみたいですね。読書量が減っているせいか、読む本の傾向が変わったせいか、感情が鈍化しているのか、ただの偶然か。いずれ出会えたら嬉しいですが。
*1:短編ですがこれだけは外せない